「最近、SESの案件が少ない気がする」「このまま今の仕事を続けていて大丈夫だろうか」。エンジニアの方から、こうした声を聞く機会が増えました。

たしかに、SES企業の営業担当者112名を対象にした調査では、81.3%が市場全体の案件総数の減少を実感しています。一方で、PM・コンサル・要件定義といった上流工程では62.5%が案件数の増加を実感しているという結果も出ています(出典元:SESLabo「SES業界の案件動向調査【2026年】」)。

私はこれを「案件がなくなった」のではなく、企業がお金を払うポイントが変わってきているサインだと見ています。この記事では、アクセンチュアで12年、その後も数百人規模のプロジェクトでPMOに携わってきた立場から、SESの案件が少ないと感じたときに考えたいことと、これから選ばれやすいエンジニアの条件をお話しします。

開発の経験に「+α」を足して、上流工程へ。
ライフワンズソリューションズでは、上流工程・PMOに進みたいフリーランスエンジニアの登録を受け付けています。情報収集だけのご登録も歓迎です。エンジニア登録ページはこちら

「SESの案件が少ない」と感じるのはなぜか

案件が少ないと感じるとき、多くの場合は「自分に来る案件」が減っています。市場全体の案件がゼロになったわけではありません。

現場で見ていると、「決まった仕様どおりに作る」「決まった手順でテストする」といった、範囲がはっきりした仕事ほど、比べられやすく、置き換えも検討されやすい傾向があります。AIを使った開発が広がってきたことも、その流れを後押ししていると感じます。

逆に、「何を作るかを決める」「関係者の意見をまとめて前に進める」「止まりかけたプロジェクトを立て直す」といった仕事は、人が担う部分がまだ大きく、手が足りていない現場が多いのが実感です。

私が現場で何度も見てきたのは、「そもそも何を作りたいのか」が、お客様の責任者本人にも見えていないプロジェクトです。開発メンバーはそろっているのに、決める人がつかまらない。確認一つのために何日も待つ。そうしている間にも、スケジュールだけは進んでいきます。

こうした場面で必要なのは、コードを書く人を増やすことではありません。判断材料をそろえて、1時間の会議のうち15分で責任者が決められる状態をつくる人です。

企業がお金を払うポイントは「作る」から「決める・進める」へ

プロジェクトで一番コストがかかるのは、実は「作っている時間」よりも「止まっている時間」です。仕様が決まらない、判断する人がいない、関係者の意見がそろわない。こうした状態が続くと、開発メンバーが何人いても前に進みません。

この「止まる理由」については、以前の記事「プロジェクトが止まる本当の理由は『決める人がいない』こと」でも詳しく書きました。

だからこそ企業は、「決める材料をそろえる人」「関係者をつないで前に進める人」にお金を払うようになっています。PM・PMO・要件定義といった上流工程の案件が増えているという声は、この流れと重なります。

ここで大事なのは、上流工程は「開発をやめた人の仕事」ではないということです。現場を知っている人が上流に入ると、決める内容の精度が上がります。開発の経験は、上流で強い武器になります。

選ばれるエンジニアの「強み+α」3つの型

開発者の専門性に、クラウド・セキュリティ、AIによる開発速度が加わり、上流工程へ上がっていく流れの図解
自分の専門性を軸に、隣の領域とAIを足して、上流工程へ近づいていく

では、これからのSES市場で選ばれやすいのはどんなエンジニアか。私は「強み+α」を持っている人だと考えています。軸になるのは、あくまで自分の専門性です。そのうえで、隣の領域に少しずつ手を広げていきます。

同じ調査では、引き合いが増えている領域の上位3つが「データ分析・AI・DX推進系」「クラウド・インフラ系」「セキュリティ系」でした。次の3つの型は、ちょうどこの領域と重なります。

型1:開発 + クラウドがわかる

アプリを作れるだけでなく、それがどこで、どんな構成で動くのかまで話せる人は、設計の段階から声がかかりやすくなります。「作る人」から「作り方を決める会議に呼ばれる人」への第一歩です。

型2:インフラ + セキュリティがわかる

インフラの知識にセキュリティの視点が加わると、リスクを先回りして説明できるようになります。上流工程では「何が起きたら困るか」を先に言える人が重宝されます。

型3:実装 + AIで開発速度を上げられる

AIを使って開発を速くできる人は、同じ時間でより多くの検証ができます。空いた時間を、仕様の確認や関係者との調整に回せるようになると、仕事の範囲が自然と上流に広がっていきます。

どの型でも共通しているのは、「強み」を捨てて新しいことを始めるのではなく、強みの隣に一歩広げることです。いきなりPMOを目指す必要はありません。

開発メンバーのうちから、上流工程に近づくためにできること

上流工程の経験は、肩書きがなくても少しずつ積めます。明日から現場で試せることを挙げます。

  • 会議で「何が決まって、何が決まっていないか」をメモする:議事録を書くときに、決定事項と未決事項を分けるだけで、プロジェクト全体が見えるようになります
  • 課題管理表を「誰が・いつまでに決めるか」で見る:担当と期限が空いている課題は、止まる原因の候補です
  • 見積もりの前提を言葉にする:「この前提が崩れたら工数が変わる」と説明できると、判断する側の人から信頼されます
  • お客様の業務の言葉で話す:技術用語を業務の言葉に言い換えられる人は、要件定義の場に呼ばれやすくなります

私自身も、開発からプロジェクト管理に移った一人です

私も最初から上流にいたわけではありません。アクセンチュアに入社してすぐは開発設計のチームで、金融システムの導入を4年間担当しました。その後プロジェクト管理のポジションに移り、300人ほどのメンバーを管理する立場になりました。

移った直後は、つまずきの連続でした。20〜30人が参加する会議で「資料に書いていることがわからない」と突っ込まれ続け、会議のあとに「あなたは結局、何をしたかったのですか?」と言われたこともあります。

そこから効いたのは、特別なスキルではありませんでした。わからないことは恥を忍んで人に聞く。依頼するときは「誰が・何を・どこまでやるか」まで言葉にする。遅れているなら「遅れています」と、当たり前のことをはっきり言う。この繰り返しで、少しずつ任される範囲が広がっていきました。

開発の現場にいるうちから、上流工程に近い案件を知っておくと、次の一歩が具体的になります。上流工程・PMOの案件に関心がある方は、エンジニア登録ページもご覧ください(情報収集だけのご登録も歓迎です)。

SESで上流工程を目指すなら、案件選びで確かめたいこと

上流工程に近づきたいと思っても、案件の中身が見えないまま参画すると、思っていた役割と違った、ということが起こりえます。ご提案を受けたときには、次のような点を確かめておくと安心です。

  • 商流:自分がどの位置に入るのか
  • 体制:どんなチームで、誰と一緒に働くのか
  • 役割:開発なのか、PMO補佐なのか、要件定義に関われるのか
  • 勤務形態・単価・現場の空気:働き方と評価、そして現場の雰囲気

ライフワンズソリューションズでは、ご提案の時点でこの6項目を開示するようにしています。「上流に進みたい」という希望に合った案件かどうかを、参画前に一緒に確かめるためです。

まとめ:案件が減ったのではなく、求められる場所が変わっている

  • SESの案件が少ないと感じるときは、「お金が払われる場所」が変わってきているサインかもしれない
  • 企業は「作る」だけでなく「決める・進める」ことにお金を払うようになっている
  • 選ばれやすいのは、自分の専門性に「+α」を持つエンジニア
  • 上流工程の経験は、会議・課題管理・見積もりの場面から少しずつ積める

時代が変わっても求められる人でいるために、まずは自分の強みを一つ決めて、その隣に一歩広げてみてください。

あわせて読みたい

コードを書く人から、プロジェクトを動かす人へ。

ライフワンズソリューションズは、大規模システム開発のPMOを主戦場とする会社です。開発の経験を活かして上流工程・PMOに進みたいフリーランスエンジニアを募集しています。

  • 元アクセンチュアのPMOがすぐ隣に
  • ご提案の時点で、商流・体制・役割・勤務形態・単価・現場の空気の6項目を開示
  • PMO未経験から歓迎。情報収集だけのご登録もOK